2006年07月13日

W杯サッカー

  2006年FIFAワールドカップ。
 こちらのエントリーで正直サッカーにはあまり興味がない
 みたいな感じの事を書いてしまったんですけど、
 たまたま見た試合の中ですんごいシーンを目撃、そして
 それがきっかけでもしかするとサッカーが好きになったかも。



  その試合というのは 一次リーグのスウェーデン対パラグアイ戦。
 前半はどちらも譲らず0−0。でもどちらかといえばスウェーデン優勢。
 この差がどこからくるかというと、素人目に感じた事なのだけど、
 たぶん「体の大きさ」。選手の身長が、小柄なパラグアイに対し
 スウェーデンはのっぽさんだらけなのだ。
 そしてこれが結構重要な要素になっている。たとえば、

 「けまり」のような感じで高く上げられたパスに対して、
 着地点に到達する速さは、スウェーデンもパラグアイもほぼ同じ。
 だが肝心のボールの競り合いで背の高さに負けるパラグアイが
 ことごとくスウェーデンにボールを取られてしまい、
 結果ゲームの主導権をも奪われるという状態。

  だがパラグアイもがんばった。
 豊富な運動量と低いパス(グラウンダーって言うの?)を駆使した
 すばやい展開でスウェーデンを翻弄する。で、前半は0‐0で終了。

  そして後半、問題のシーンは起こる。
 スウェーデン側が放ったパスが、パラグアイの守備陣の後ろに落ちる。
 オフサイド(ロングパスをゴール前に落としてそこにいたやつがシュウトしちゃえばよくね?
 っていう作戦は紳士的でないっていうかキタネーよっていう意図で作られたルール、らしい)
 の判定は出ない。

  緊迫するパラグアイゴール前。
 スウェーデンFWのアルバックが走り込んでボールを取る。
 慌てて飛び出すパラグアイのGK。
 アルバックはそれを見越して高く山なりのシュートを放つ。
 GKジャンプするも届かない。ボールはそのまま誰もいないゴールへ一直線。
kanisa01.JPG


 敵も味方も審判も観客も実況も解説も
 「先取点はスウェーデン」と思っただろう。私だって思った。いや、
 全世界が「一点入った!」と思ったに違いないのだ。


 だがここに一人、そう思わなかった奴がいた。


  パラグアイのデイフェンダー、背番号21、デニス・カニサ選手
 キーパーの頭を超え、無人のゴールへ吸い込まれていくボールめがけて
 猛然とダッシュ。


 カニサとボールの距離は遠い。
 ボールとゴールの距離は近い。


 追いつくワケがない。


 だが彼は止まらない、ボールを追うのをやめない、あきらめない。
 どんどん加速する、3倍界王拳かっつうの!


 ゴールラインを割るまで

 5メートル、

 4メートル、

 3メートル、

 ・・・・・・?!?!?!

kanisa02.JPG









         追いつきやがった!







 まさに紙一重、ゴールライン寸前で枠外に蹴り飛ばす。クリア!


kanisa03.JPG



 「ウソでしょー」という表情のアルバック。
 「んなバカな」と頭抱えるスウェーデンの監督。

 そりゃそうだ。ありえない。
 今時少年マンガでもこんなに熱い展開はない。

  そのまま勢いあまってゴールになだれ込み、
 顔面をしたたか地面に打ち付け、顔をしかめて立ち上がる。
 彼のこのプレーが味方を奮起炎上させたことはあきらかで
 FWのバルデス、サンタクルスを中心に
 パラグアイはスウェーデンゴールに果敢に攻め込む。


    が、マンガ的な展開はここまでだった。


  その後パラグアイは何度もスウェーデンゴールを割ろうとするが
 その堅守の前に数少ないチャンスを生かすことができず、
 逆に終了間際、ついに敵方ユングベリ選手のシュートを許し、
 そのまま0−1で敗北する。


    しかたがないことだ。


  勝負の女神がその手に持つのは「実力」という名の天秤だけ。

  感動的な物語を背負っていようと
 悲壮な覚悟で試合に臨もうと、
 この世の何よりも公平な彼女の前では
 全てのチームが平等なのだから。


  だがそれでも、ともすれば追い詰められた者がヤケクソ気味に吐く、

「現実はさあ、最後まであきらめない、なんてマンガの中のきれいごとだろ?」

 という揶揄を、あのカニサ選手のガッツ溢れるプレーは文字通り蹴散らしてくれた。


 望んだ結果は得られずとも、
 記録の歴史には残らなくとも、
 見た人の心に残るプレーはある。確かにある。



 サッカーも悪くないね。



おわり
posted by 山桃浩司 at 04:50| Comment(0) | TrackBack(0) | それ以外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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